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神奈川県川崎市高津区の田園都市線溝の口駅・南武線武蔵溝ノ口駅より徒歩3分の音声収録スタジオ。東京都内渋谷駅より田園都市線急行で14分
2014-11-20

宅録の理想的なルームアコースティック環境

前回、録音環境としてルームアコースティック環境も大変重要と言う話をしましたが、今回からは具体的に、では宅録での録音に適した環境はどうすれば作れるかを書いていきたいと思います。

固い物は音を反射させ(乱反射)柔らかい物は音を吸う(吸音)

前回、録音にはライブよりデッドなルームアコースティック環境が望ましいと言う話をしました。では具体的にどの様な状態だとデッドになり、どの様な状態だとライブになるかと言う話ですが、通常音と言うのは壁や床や天井やその他部屋に置いてある物など、物体として形のある物には全て音は反射します。聞いている音と言うのは音源その物の音(例えば声の場合は口から出てる声その物)の音にプラスして、その場の環境による様々な反射音と言うのを同時に聞いていることになります。そしてその音の反射は、物体の固さや形によって反射の仕方が変わってきます。大雑把には固いものは音を反射させて、柔らかいものは音を反射させず逆に音を吸います。前回風呂場と寝室でのルームアコースティック環境の違いで例えましたが、この場合風呂場には風呂桶があり、鏡があり、ガラスがあり、部屋中全て固いもので覆われています。一方寝室の方は、床はカーペットで、ベッドがあり、クローゼットには服が沢山掛けられ、柔らかいもので覆われています。風呂場の方は音を反射させる要素満載なのに対して寝室の方は音を吸う要素が沢山あるんですね。なので風呂場はライブ、寝室はデッドな音になるんですね。この音を吸う状態のことを「吸音」と言います。

また音は、平面同士が平行にある状態だと、一度反射した音は反対にある平面に反射し、それがまた反対の平面に反射し、それがまた反対の平面に反射し、、、、を繰り返し、それが残響となり結果的に「ライブな」音になってしまいます。

図は部屋を上(天井)から見た状態の想定図ですが、横方向のみで音の反射イメージを書いてますが、同じことが縦方向にも同時に起こっていることになります。また天井がある限り上下(天井と床)間でも同時に同じことは起こっている訳です。前回の風呂場と寝室に例えても、風呂場は平面の壁と平面の壁、また平面の床と平面の天井を遮る物がほとんど無く、平面同士がかなりの割合で平行しているのに対して、寝室の方は柔らかく音を吸う要素が満載な上に更に、平行面に関しても、家具がありブラインドがありクローゼットの服と、平面と平面が平行する条件が少ないです。この平面と平面の平行を減らし音の反射を減らすことを「拡散」と言います。

デッドなルームアコースティック環境を作るには吸音と拡散をバランス良く

この「吸音」と「拡散」を考えながら録音に最適なルームアコースティック環境を構築していけば、宅録でも工夫次第で「良い音」が録れる環境を作れます。次回はこれらを踏まえた壁のチューニングについて書いていきます。

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