歌録りでのマイクチョイス
前回はボーカルレコーディング方法の時代的背景をお話しましたが、今回はオリジナル楽曲販売でトラック制作やアレンジ制作、楽曲制作をご依頼して頂いた方で、ボーカル録音はご自分でやられる場合の具体的なマイクチョイスについて、オススメ機材のお話をしていきたいと思います。
まず、プロ仕様の商用レコーディングスタジオでは昔から、現在も標準的に使われていて、このマイクで歌を録った作品は誰もが必ず耳にしているであろう代表的なマイク。
Neumann/U87ai
こちらはボーカルに限らずあらゆる楽器を録っても「まとも」な音になる、またボーカリストも選ばないと言うか、どういう音源に立てても「使える」音になります。レコーディング用コンデンサーマイクの世界的標準機、業界標準とされていますが、その理由は実際に使うとよく分かります。
次は同じくノイマンですが、U87aiに比べると、単一志向のみと機能が少なくなっていますが、プロミュージシャンのプライベートスタジオなどでも愛用される場合が多い
Neumann/TLM103
こちらはStudio-azのレコーディング業務でも使用しているマイクで、U87aiの単一志向で拾った場合に大変近い音になるマイクです。無志向、双志向で拾う場合と言うのは楽器の音をオフマイクで拾う場合であったり、ドラムのオーバートップであったりがメインで、歌録りなどはオンマイクで単一志向しか使わないので、歌録りやアコースティックギター等のオンマイク専用で考えるのであればU87aiより安価なこちらをチョイスするのがコストパフォーマンスに優れていると私は個人的に思っています。ちなみにノイマンでもこちらより安価ですが見た目が似ているTLM102と言うマイクがありますが、そちらはこの103とは全く別物と考えた方が良いと個人的には思います。
AKG/C414
こちらも有名なマイクでU87aiと共にプロ用レコーディングスタジオにはほぼ必ず常駐機材として置いてあるマイクです。AKGマイク全体の特徴として高域の成分が「派手」な印象がありますが、ただシャリシャリしてるだけの安物コンデンサーマイクには無い豊かな中域を多く含んだ、こちらもプロのレコーディングでも結構定番なマイクになります。
AUDIO TECHNICA/AT4050
こちらは上記した3機種に比べると地味目な音と言うか、低域にシフトされてる感じと言うか、シャリシャリした煌びやかな印象では無く、良くも悪くもそのままの音と言う感じでしょうか。元々が派手な声質の場合などは良いと思います。プロ用レコーディングスタジオでも置いてある所は多いです。
この辺でしょうか、個人で宅録で歌を録る場合におすすめ出来るマイクは。この辺のマイクであればメジャーレーベルで世間に流通している物を録っているマイクと同じレベルな物になります(マイク、と言う部分だけに関してですが。これらを通すマイクプリアンプやオーディオI/O等、またマイキングの善し悪しや録音環境の音響的条件等、他の要素も沢山ありますので。これらがあればそれだけでプロの音になる訳ではありません)が、録音の善し悪しを決める中で、マイク自体が左右する部分はかなり大きいです。何にしてもマイクは値段に対してのパフォーマンスの善し悪しが結構歴然としている物です。安物マイクはやはりそれなりの音しか録れません。
次回はそのマイクを通すマイクプリアンプのお話をしていきます。
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